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日本でも使える?
CEFR(セファール)とは?

By Global Training GPOD

皆さんは「CEFR」という言葉を聞いたことがありますか?
CEFR(セファール)とは、一言で言えば外国語のコミュニケーション能力を表す指標です。

日本では、英語力を証明する代表的な指標となっている「英検」や「TOEIC」が最も馴染みのある資格試験であり、職場や就職活動の場において英語レベルを証明する試験として有効とされています。

それに対しCEFRは、あくまでも言語の習得状況を評価するために考案された「ものさし」であり、資格試験ではありません。

日本では、CEFRもまた「英語能力試験の一種」と認識している人もいるようですが、CEFRは「資格試験」でもなければ「英語に特化している」わけでもありません。言語の習得レベルを判定するガイドラインとして、ヨーロッパで広く利用されているヨーロッパ発祥の国際指標であり、英語を含む38の言語が参照枠に入っています。

そんなCEFRについて、この記事でさらに詳しく解説していきます。

目次

CEFRの歴史

CEFRの歴史は古く、1967年のEC発足後ヨーロッパ内の国々の相互の依存の高まりが生まれ、ヨーロッパ内で語学教育が次第に強化されるようになったことと深く結びついています。CEFRの原型は、すでにこの頃作られました。

1993年にEUが発足して以降は、アメリカをはじめとする大国に対抗する為の経済発展を目的に、ヨーロッパの国々は一層の協力体制が必要となり、人々のコミュニケーションが更に重要視されるようになります。

こうした動きとともに、語学力を示すガイドラインの制定が進み、20年以上もの年月をかけて研究が重ねられた後、現行のCEFRが公開されました。

ヨーロッパの団結が強化された歴史と共に語学教育が進んだヨーロッパ諸国では、母国語に加えて2か国語を学習するのが通常です。とはいえ、ヨーロッパではやみくもに「ペラペラになること」が目的ではなく、個人がその言語に対して必要なレベルに応じて学習するという、目標設定が具体的、且つ実用的なのが特徴です。

そして、その具体的なレベルの判断の指標として生まれたのがCEFRなのです。この時点で、すでに日本の英語教育とは異なると感じるかもしれませんね。

CEFRの特徴

CEFRの特徴

  1. すべての言語に共通して使用できる判断枠である。
  2. 同じ判断枠で、同一人物の異なる言語能力を比較できる。
  3. 知識の量ではなく、「何ができるのか」「どの程度うまくできるのか」で習得状況を判断する。
  4. 指導者だけでなく、学習者自身で判断できる。

CEFRのレベル CEFRの6つのレベルは、まずは大きく3段階に分けられます。
  • Aレベル:基礎段階
  • Bレベル:自立段階
  • Cレベル:熟達段階
この3段階が、さらに以下のように細分化されています。
CEFRの能力レベル別に「何ができるか」を示した熟達度一覧

C2

聞いたり読んだりした、ほぼ全てのものを容易に理解することができる。いろいろな話し言葉や書き言葉から得た情報をまとめ、根拠も論点も一貫した方法で再構築できる。自然に、流暢かつ正確に自己表現ができる。

C1

いろいろな種類の高度な内容のかなり長い文章を理解して、含意を把握できる。言葉を探しているという印象を与えずに、流暢に、また自然に自己表現ができる。社会生活を営むため、また学問上や職業上の目的で、言葉を柔軟かつ効果的に用いることができる。複雑な話題について明確で、しっかりとした構成の詳細な文章を作ることができる。

 

B2

自分の専門分野の技術的な議論も含めて、抽象的な話題でも具体的な話題でも、複雑な文章の主要な内容を理解できる。母語話者とはお互いに緊張しないで普通にやり取りができるくらい流暢かつ自然である。幅広い話題について、明確で詳細な文章を作ることができる。

B1

仕事、学校、娯楽などで普段出会うような身近な話題について、標準的な話し方であれば、主要な点を理解できる。その言葉が話されている地域にいるときに起こりそうな、たいていの事態に対処することができる。身近な話題や個人的に関心のある話題について、筋の通った簡単な文章を作ることができる。

 

A2

ごく基本的な個人情報や家族情報、買い物、地元の地理、仕事など、直接的関係がある領域に関しては、文やよく使われる表現が理解できる。簡単で日常的な範囲なら、身近で日常の事柄について、単純で直接的な情報交換に応じることができる。

A1

具体的な欲求を満足させるための、よく使われる日常的表現と基本的な言い回しは理解し、用いることができる。自分や他人を紹介することができ、住んでいるところや、誰と知り合いであるか、持ち物などの個人的情報について、質問をしたり、答えたりすることができる。もし、相手がゆっくり、はっきりと話して、助けが得られるならば、簡単なやり取りをすることができる。

このように、飽くまで学習者もしくは指導者が、個人の習得レベルをCEFRのガイドラインに当てはめたときに、どのレベルなのかを自己判断します。

日本では、文部科学省が作成した英検やTOEIC等の資格試験結果との相対表もあるので参考にしましょう。

これまで英語学習を継続して実際に試験を受けてきた人は、CEFRのレベルではどれに該当するのか調べてみるとよいでしょう。

例えば、「私は英検2級だから、CEFRのA2~B1程度。でも身近な話題を簡単な文章でコミュニケーションをスムーズに取れるレベルではないから、A2かな。」などと判定することができます。

判定は、不足しているスキルを把握するために用いて「~ができるようになればB1と言えるから、〇〇を身につけよう。」という、次の学習目標に繋がればいいですね。

CEFRの基準は実用的なので、日本の資格試験に合格して一定の文法知識があるという事実があっても、それを使って実社会でどんなコミュニケーションが取れるかはわからない人もいるかもしれません。むしろ、そこが日本人の英語力の問題点でしょう。

CEFRの参考にすることで、日本人の英語の勉強方法やその目的も変わるかもしれません。

CEFR導入が進む日本での現状

世界規模の英語能力ベンチマークによると、日本の英語能力は調査対象100ヵ国中55位。5段階評価の下から2番目で、「低い」の評価であり「同僚とスモールトークができる程度」です。

このような日本の英語力に国は危機感を覚えているのは事実です。
また、現在学校で学ぶ児童生徒が社会で活躍する2050年頃には、日本は多文化・多言語・多民族の人たちが協調と競争をする国際的な環境の中にあることが予想されます。

そこで文部科学省は、これまでよりもコミュニケーションを重視した英語教育にシフトしたのです。

今後様々な場面において英語でのコミュニケーションを行う機会が格段に増え、4技能を総合的に習得する必要があります。「英語4技能評価」という言葉が聞かれるようになったのも最近ですね。

英語4技能とは、英語の「聞く(listening)」「読む(reading)」「話す(speaking)」「書く(writing)」という4つのスキルを表し、特に「speaking」と「writing」が日本では大きな課題となっています。日本人の英語教育の変化に伴い、CEFRのように実用的に語学の習得レベルを判断する指標が、今後広まることでしょう。

すでに高校や大学の英語授業のレベル測定で、CEFRが使用されるようになってきている学校もあります。英検の結果にCEFR対応スコアも表示されるようになっていますし(2016年より本格導入)、NHKは英語講座をCEFRのレベル別に再編成済み(2012年より)です。

資格試験の対策として英語を勉強し、高得点を目指すことを目的とするのではなく、学習して得た知識を実際に活用できること、また個人がそれぞれ必要な習得レベルを把握し、そのレベルに到達するという具体的な目標を掲げる、実用的な英語の学習が定着するといいですね。

就きたい仕事、行ってみたい国、今後広げたい事業のターゲット市場、話したい相手等、それぞれが目標を達成するために必要なレベルを、CEFRで確認してみるのも良いかもしれません。

日本では、資格試験の代表としてまだまだ英検とTOEICの認知度も使用度も高いかもしれませんが、試験対策のために学習すること自体は「意味のないこと」ではありません。大切なのはその知識を「試験で回答できる」段階にとどめず「実際に使える」ようにすることです。

資格試験のスコアや取得した等級をCEFRの相対表と比較したときに「その実用レベルに達しているか」「不足しているものは何か」「何ができるようになれば、相対表にあるCEFRのレベル通りに、英語を実社会で使いこなせるのか」を把握し、実際にあなたが目標とする必要レベルのコミュニケーション力を目指すことが必要なのです。その指標としてCEFRが活用されることが近い将来やってくるかもしれません。

まとめ

いかがでしたか?
従来の英語力をはかる試験も決して悪いものではありません。しかし、ビジネスの場において重要なのは「点数が高いか」ではなく、「実用的なのかどうか」です。

自身で身につけた英語がどの程度使えるものなのか知るためにも、CEFRを使って英語力を今一度評価するのも良いかもしれませんね。

皆さんは、CEFRについてどう思いますか?日本人も実用的に英語を使いこなし、英語でのコミュニケーションが一般的になるといいですね!