グローバル化の推進によって、日本人と外国人が一緒に仕事をする機会が増えてきました。
異なる文化を持った者同士が働くことは新たな刺激も多い一方で、「仕事内容を理解してもらうのに時間がかかった」「仕事に対する価値観の違いを感じた」など、仕事の進め方や考え方の違いに戸惑う声も耳にします。
業務を円滑に進めるためには、お互いの文化や違いについて知ったうえで、コミュニケーションを図ることが大切です。
そこでこの記事では、日本人と外国人がそれぞれ感じることの多いストレスや、お互いがストレスなく働くためのコツをご紹介します。
厚生労働省が発表した「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和2年10月時点)によれば、外国人労働者の数は約172万人で、過去最高を更新。
政府もグローバル化を推進していることから、今後はさらに外国人と良好なコミュニケーションを築く必要性が高まっていくと考えられるでしょう。
6割が外国人と働いた経験がある
外国人労働者の増加から、外国人と働くということを自分の経験として実感する日本人も増えてきました。
エン・ジャパン株式会社がおこなった「外国人と一緒に働くこと」についてのアンケートによれば、およそ6割もの人が、これまで外国人と一緒に仕事をした経験があると回答。
業種は販売系が最も多く、ほかにもさまざまな分野で外国人スタッフが活躍していることがわかります。
わかりやすい日本語で話す、積極的に話しかけるなど、コミュニケーションを取るうえでは工夫が必要となったものの、「一緒に働く上で困ったこと」についての質問では「特に困ることはなかった」が35%で最多。
もちろん中には、「意思疎通がスムーズにとれなかった」27%、「仕事に対しての価値観が違うと感じた」25%という回答も見られるなど、言葉の壁や文化の違いを感じる場面もあったようです。
ビジネスの場は日本人・外国人の双方が学びを得られる場所でもある
コミュニケーションの難しさもある一方で、多くの方が「外国人と働いてよかった」と感じていることもわかっています。
同じように、外国人も「仕事を通しての学び」を求めて日本にやってきているケースが多いです。(パーソルキャリア株式会社が外国人労働者を対象におこなった調査より)
ビジネスの場は仕事を通してお互いに刺激し合い、成長できる貴重な空間。
日本人も外国人も心地よく働ける環境をしっかりと作り上げさえすれば、「外国人と働く」ということは、企業にとって大きなプラスとなります。
働くうえでは、コミュニケーションが欠かせません。言葉や文化の違いは時に、解決しなければならない課題を生むことも。
ここからは、外国人と働く日本人が感じることの多い、コミュニケーションの難しさやストレスについて詳しく解説していきます。
意思疎通の難しさ
ある程度の日本語を話せる外国人が増えているものの、日本語の独特のニュアンスまでは理解できないことが多いのが現状です。
「YES」か「NO」だけではコミュニケーションは取れないため、伝えたいことを正しく伝えることに苦労するケースも。
とはいえ、労働者ではなく企業側が多言語対応をしようとすれば教育のために大きなコストや時間がかかってしまいます。
価値観の違い
生活習慣・価値観・宗教観など、国が違えばさまざまな違いがあります。
日本では当たり前であり「常識」のようになっていることでも、外国人にとっては、きちんとした説明がなければ理解できないということも少なくありません。
たとえば、健康診断を例に見てみましょう。
厚生労働省による「外国人社員と働く職場の労務管理に使えるポイント・例文集」では「健康診断について説明するとき」のポイントとして、以下を挙げています。
日本では、健康診断が法律で義務付けられていることが広く認知されているため、「健康管理のため、年に 1 回健康診断を受けてください」と説明をするだけで足りる場合も多いです。
一方、外国人の方は母国で健康診断が義務付けられていないケースもあり、X線検査、血液検査、採尿等を拒否するなどのトラブルになることもあります。特に、X線検査には放射 線が使用されるので、体に悪影響があるのではと考える方もいます。
健康診断ひとつとっても、このような違いがあるのです。
日本では、福利厚生でありメリットとして受け入られている健康診断がまさかトラブルにつながる可能性があるとは、日本人であればほとんどの人は考えないでしょう。
ささいなすれ違いですが、それが積み重なればストレスとなってしまうこともあります。
自己主張の強さ・直球でのコミュニケーション
日本と海外では、コミュニケーションの考え方やビジネスのスタイルも異なります。
上司・同僚問わず直球すぎるコミュニケーションをしたり、時間にルーズであったり、承認プロセスを無視して勝手に仕事を進めてしまったり。
海外は個人のスキルが重視されることもありますが、日本では協調性やチームワークが重視される傾向にあり、このような違いがストレスにつながってしまいます。
日本人と働く外国人も、日本人と同じように難しさやストレスを感じています。
お互いが抱えているものを知ることで、解決につなげていくことができるでしょう。
空気を読む・行間を読むコミュニケーション
「空気を読む」「行間を読む」など、直接的ではない日本独特のコミュニケーションを理解できず、不安やストレスを感じる外国人は少なくありません。
表情から汲み取る、その場の雰囲気で感じ取ることは外国人には難しいこともあり、きちんとした説明がなければ理解できないのです。
無駄なルールが多い
年功序列の賃金体系、同調圧力、暗黙のルール、家族より仕事を優先する風潮など、「そのルール、本当に必要?」と思ってしまうような無駄なルールが多いことも、外国人はストレスに感じるようです。
とはいえ、これは外国人だけではなく、日本人の中でも窮屈さを感じている方はいるでしょう。
現代の日本は、働き方改革やワークライフバランスの推進などによって働き方も変わってきていますが、日本特有の上下関係などは外国人にとって大きなストレスとなることも多いようです。
文化や言葉の違いがあっても、コミュニケーションの工夫をすれば良好な関係を築いていくことができます。
日本人と外国人がお互いにストレスなく快適に仕事をしていくために大切なポイントをいくつかご紹介します。
お互いの文化について知り、譲り合う
自分たちの文化について伝えるだけではなく、相手の文化を知ることが大切です。
どのような違いがあるのか、それがビジネスにおいてどんな問題となる可能性があり、解決のためにはどうすればいいか。
お互いを尊重して譲り合うことで、日本の良さも外国の良さも取り入れた新たな可能性につながっていくでしょう。
フレンドリーなコミュニケーションを心がける
人とのすれ違いが生まれてしまうのは「コミュニケーション不足」も大きな原因の一つ。これは、日本人や外国人という国籍は無関係にしても同じことです。
フレンドリーなコミュニケーションを心がけることで、意思疎通が図りやすくなります。
言葉も文化も違うのだから、最初は理解し合えなくて当たり前。そう思ってお互いに積極的に話しかければ、自然と打ち解けていくことができるでしょう。
社内でのイベントなど、日本人スタッフと外国人スタッフがコミュニケーションを取る機会を作るのもおすすめです。
他人の靴を履いてみる
日本でもよく「相手の立場になってものを考えなさい」といいますが、英語のことわざにも同じ意味の言葉があります。
それが「他人の靴を履いてみなさい(put yourself in someone’s shoes)」という言葉です。
お互いについて知り、その人の目線に立って考え、経験してみるということを心がければ、衝突を避け、より深く理解し合うことにつながります。
日本人が感じていること、外国人が感じていること。その両方を知って歩み寄れば、お互いを尊重しながら高め合っていくことができます。
日本製品は海外から大きな信頼、期待を寄せられている一方、グローバルなビジネスへの対応能力という大きな課題があるのが現状です。
優秀な外国人の人材、つまりグローバル人材は、企業が世界とつながるための橋渡し役であり、日本企業の弱点である「企業としてのコミュニケーション能力」を克服する存在。
世界に通用するグローバル人材は企業の大きな強みであり、今後必要不可欠となっていくでしょう。
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