クラウドAIの基礎知識
学習済みAI・学習できるAIを初心者に向けて解説

By Global IT GPOD
公開日:2022.05.19
更新日:2025.08.01

クラウドAIの基礎知識
学習済みAI・学習できるAIを
初心者に向けて解説

By Global IT GPOD
公開日:2022.05.19
更新日:2025.08.01

人工知能(AI)の普及が加速する中、IBMやマイクロソフト、Amazon、Googleなどの大企業が中心となり、クラウドプラットフォームにおけるAI機能への膨大な投資が行われています。

AIとクラウドを組み合わせた技術は『クラウドAI』と呼ばれており、IT未経験者でも扱える『学習済みAI』と、独自のAIを構築できる『学習できるAI』などを利用可能です。

この記事では、昨今において注目を高めているクラウドAIの基礎知識や、クラウドAIの軸となる『学習済みAI』や『学習できるAI』などをわかりやすく解説していきます。

GDIでは、ITエンジニアとしてのキャリアに興味がある方、IT業界で転職を考えている方を支援しています。特にグローバルスキルを持ったエンジニア向けの英語案件も多数ありますので、興味がある方はぜひ弊社までお問い合わせ下さい。

目次

クラウドAIとは

人工知能(AI)は、ITの経験が浅い人にとって難しそうなコンセプトですが、AIに関する知識のない人でも運用できるのが『クラウドAI』です。

クラウドAIはその名の通り、クラウド上で運用可能な人工知能(AI)のことです。一般的なクラウドAIは、AIに必要な学習システムとデータベースを備えており、学習・推論などをクラウド上で高速処理できます。

初心者でもクラウド経由でAIを手軽に利用することができ、IT上級者であればより高度な独自のAIを作り、さまざまなビジネスに運用可能です。

需要の高いIT業界で注目されるクラウドとビッグデータ活用
情報サービス業の市場規模は、2012年から2020年まで上昇トレンドにあります。

出典元:https://gyokai-search.com/3-jyoho.htm

2020年〜2021年においても、業界動向サーチによるデータでIT業界の業界規模は『16兆4,016億(197社の売上合計)』とされており、好調な売上高推移を見せています。

最近では、クラウドAIへ莫大な投資を行う大企業が増加。今後の投資ビジネス市場・モデルにも大きな影響を与えると期待されています。

クラウドAIの普及が拡大することで、IT初心者でもAIビジネスに参入しやすい環境になると予想されます。

クラウドAIの基礎知識

クラウドAIの仕組みを支えるのは、『学習済みAI』と『学習できるAI』の2つです。

初心者でも、深い知識を必要とせずAIを運用できるのは、クラウドを通じてすぐに提供可能な完成済みのAIがあるからです。また、蓄積されたデータを高速処理できる学習モデルを作ることもできます。

学習済みAIと学習できるAIについて、さらに詳しく解説していきます。

学習済みAI
クラウドAIの軸となる『学習済みAI』は、すでに完成されているAI機能を指します。

AIは、膨大なデータを蓄積して学習させることで、データに基づいた推論を行います。学習済みAIであれば、利用者が学習用データを集める必要がなく、比較的リーズナブルな価格ですぐに完成されたAI機能を利用可能です。

例えば、顔認証システムを利用する場合、すでに『人間の顔』や『物の形』などを学習させたAI機能を利用できるため、難しいプログラムを行う必要なく、すぐにサービスを利用できます。

他にも、自然言語を学習したAIで独自のチャットボットをつくったり、音声を学習したAIでコールセンター業務を行ったりすることも可能です。

学習できるAI
クラウドAIであれば、自社サーバーに負荷をかけず、独自の学習モデルを構築可能です。

自社サーバーでAIを構築させる場合、膨大な量の学習データの収集と処理により、大きな負荷がかかりますが、クラウドを介することで問題を解決できます。

ビッグデータを用いたビジネスに運用できるのはもちろんのこと、複雑で高度なデータ処理も可能なため、あらゆる業種に対応した独自のAIを構築可能です。

クラウドAIなら、自社内で大容量・高速処理のハイスペックのコンピュータを用意する必要がなくなるため、コストの削減にもつながります。

クラウドAIとエッジAIを比較

クラウドAIと比較対象になるのが、一部の領域でクラウドを活用し、推論は端末側で行う『エッジAI』です。

クラウドAIとエッジAIの違いについて、初心者にもわかりやすくまとめた表がこちらです。

クラウドAI
エッジAI
情報処理を行う場所
クラウド上
端末内とクラウド
特長
クラウド上で膨大な量のデータを高速処理できる
端末内で推論を行い、リアルタイムでアウトプットできる
懸念点
クラウドを介することで、リアルタイム性に欠ける
高速処理にはハイスペックの端末が必要となる

例えば、大量の紙媒体のデータをデジタル化するようなサービスであれば、膨大な量のデータを高速処理できるクラウドAIが選ばれるでしょう。

一方のエッジAIは、カメラやセンサーなどで物体の情報を瞬時に感知し、リアルタイムに端末内で処理を行うサービスなどに適しています。

クラウドAIの活用方法

ビッグデータ活用をより手軽にしたクラウドAIは、多種多様な企業のサービスやシステムに採用されています。クラウドのAIの実態をより把握していただけるように、ここからは活用方法をいくつかご紹介していきます。

自動運転技術
クラウドAIの代表的な活用方法に挙げられるのが、自動運転技術です。

膨大な交通データが必要となる自動運転技術には、クラウドAIとエッジAIの両方を合わせて使われるケースが多いです。車に搭載したカメラやセンサーを介して路上の物体を認識し、停まる・避けるなどの処理を行います。道路と車の通信、車同士の通信を通信をリアルタイムで行うことで、安全な走行が実現します。

販売戦略の策定
小売業界においては、クラウドAIで商品の販売データを蓄積・分析し、商品の需要予測に役立てることが可能です。

例えば、消費者の行動を特殊なセンサーで感知してデータ化することで、店舗の混雑具合のパターンに合わせた売場づくりや、商品展開をすることができます。

商品の需要を正確に予測することで、効率的な店舗経営を実現し、余剰在庫が出てしまうのを抑制することも可能です。

広告の最適化
インターネットの利用者の属性に合わせて広告を表示するサービスにも、クラウドAIが活用されています。

AIに閲覧者の属性や行動、広告のタイプなどを大量にAIに学習させることで、利用者の興味を引く広告表示をその都度表示させることが可能です。

本来は、仮説検証を繰り返した上で効果の見込める広告配信を行う流れとなりますが、学習済みAIを活用することで、スピーディーに広告の最適化を図れます。

現場の不良品探知
目視によって行っていた製品や部品など検品を、クラウドAIで自動化することができます。

クラウドAIに、製品や部品の正確な形・色などを学習させることで、検品時に合致しないモノをすぐに判断できます。目視よりも、正確かつスピーディーに異常検知でき、業務効率化と人的コスト削減が実現。

不良品を自動的に取り除く機械と連動させることで、良品だけを正確に判別できるシステムの構築も可能です。

文字起こしサービス
人間の声を瞬時にテキストへ変換する『文字起こしサービス』は、クラウドAIの『学習済みAI』として、メディア業界を中心に普及しています。

例えば、代表的なサービスには、TBSテレビが開発した『もじこ』が挙げられます。

『もじこ』は、AI音声認識技術を駆使し、世界125ヶ国語以上の文字起こしができるエディタサービスです。2020年には、公益社団法人企業情報化協会マネジメント領域でIT賞を受賞。

『もじこ』は、取材やインタビューした音声や動画ファイルを、AI音声認識エンジンで自動的にテキスト化し、文字起こし業務を高速化できます。正しく変換されなかった文章に関しては、手動で修正・編集することも可能です。

クラウドAIの文字起こしサービスは。メディア業界のIT化・DX化を推進させるツールとして、今後も需要が高まるとみられます。

2025年におけるクラウドAIの再定義

2025年になった現代において、AIはどのように進化したでしょうか。
2022年の記事では、クラウドAIを主にAIモデルを構築・実行するための「インフラ」として捉え、その利点をコスト削減やスケーラビリティに見出していました。

しかし2025年現在、この定義は根本から覆されています。現代のクラウドAIは、単なる計算基盤の提供者から、ビジネス課題を直接解決する「知能そのもの」をサービスとして提供する存在へと劇的に進化しました。

この変革を牽引しているのが、生成AI、エージェントAI、そしてマルチモーダルAIという3つの技術的支柱です。これらは2022年にはまだ黎明期にありましたが、今や市場の標準となっています。

生成AI
生成AIは、大規模言語モデル(LLM)を基盤とし、文章や画像の生成に留まらず、高度な推論能力を発揮します。これは、特定のタスクごとに開発が必要だった従来の「学習できるAI」を遥かに超える、汎用的な知能の獲得を意味します。

エージェントAI
エージェントAIは、この知能に「行動力」を与えます。単に応答を生成するだけでなく、目標達成のために自ら計画を立て、APIなどのツールを駆使してタスクを自律的に「完遂」する能力を持ちます。これにより、AIの役割は業務の「支援」から「実行」へと大きくシフトしました。

マルチモーダルAI
マルチモーダルAIは、AIに人間のような「感覚」をもたらします。テキスト、画像、音声といった複数の情報を同時に統合・理解することで、より文脈に即した深い洞察を可能にします。

 

これら3つの要素は個別に進化するだけでなく、相互に融合し、「マルチモーダルAIエージェント」という新たなパラダイムを形成しています。これは、多様な感覚で世界を認識し、自らの頭脳で考え、手足を使って行動する、より人間に近い自律的な存在です。

この結果、企業がクラウドAIに求める価値は、インフラの利用から、事業変革を加速させるための「知能の活用」へと完全に移行しました。もはやAIはIT部門のツールではなく、経営戦略の中核をなす競争力の源泉なのです。  

まとめ

いかがでしたか?
2022年から2025年にかけて、クラウドAIは計算基盤としての「インフラ」から、ビジネスを動かす「知能」そのものへと劇的に進化しました。

かつて効率化の道具であったAIは、今や生成AIやエージェントAIの力で業務を自律的に「完遂」する、事業戦略の核となっています。

この変革は、ITエンジニアにとって脅威ではなく、かつてない好機です。もはや単にシステムを構築・運用するだけでなく、高度なAIを組み合わせて新たな価値を創造する「知能のアーキテクト」としての役割が求められています。

この革新的な時代において、皆さんの技術力と創造性こそが、未来のビジネスを形作る原動力となるのです。変化を恐れず、新しいツールを手に、新たな道を切り開いていきましょう。

GDIではIT業界で活躍するすべてのエンジニアを支援しています。また、グローバススキルや海外経験豊富なエンジニアに向けた英語案件も多数紹介しています。

まずは話だけでも聞いてみたい、応募まではいかないけれど、今後のグローバルキャリアを相談したい、という方も大歓迎です。ぜひお気軽に弊社までお問い合わせ下さいませ。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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