アジャイルとDevOpsの違いとは?
開発・運用における相違点を解説

アジャイルとDevOpsの違いとは?
開発・運用における相違点を解説

By Global IT GPOD

ビジネス環境の激しい変化により、ニューノーマル時代への適応が求められる今、企業が競争に勝つためには開発チームと運用チームが協力した組織変革が重要とされます。

2022年のIT業界においては、ソフトウェアの開発プロセスを効率化する「アジャイル」の導入や、開発チームと運用チームが協力し、開発スピードや品質を向上させる「DevOps」の実現を目指す企業が増えています。

そこで今回は、アジャイルとDevOpsの違いや、DevOpsを実現させる重要ポイントを解説します。

アジャイルとは

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アジャイル(Agile)とは、2000年代に誕生したソフトウェア開発手法です。直訳すると「俊敏」や「素早い」という意味を持ちます。

各プロジェクトにおいて、「設計」→「開発」→「テスト」→「リリース」を実行する「イテレーション」という短い開発サイクルを設けるのが、アジャイルの特徴です。

かつてのソフトウェア開発では、開発プロセスのスタートからゴールまでが鎖状につながる開発プロジェクトを形成する、「ウォーターフォール」という開発手法が主流でした。

アジャイルは、ウォーターフォールモデルが進歩した開発モデルで、開発の柔軟性を確保し、クライアントにとってビジネス価値の高いソフトウェア・システムの開発を目的にしています。

では、ウォーターフォールモデルと異なる点や、どのような背景でアジャイル開発が誕生したのかを解説します。

ウォーターフォールモデルの特徴
ウォーターフォールモデルはその名の通り、滝が上流から下流に流れるようなフローでソフトウェア開発を進める手法です。

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具体的には、以下のようなステップを踏んで製品をリリースします。

    1. 要件定義を行う
    2. 基本設計(外部設計)を行う
    3. 詳細設計(内部設計)を行う
    4. 開発(コーディング)を行う
    5. 単体テストを実行する
    6. 統合テストを実行する
    7. 総合テストを実行する
    8. 製品をリリースする

鎖状につながった各タスクを段階的に行うため、一つのステップをクリアしなければ先のステップには進行できません。

ウォーターフォールモデルは、あらかじめ決められた期間・予算・リソース・品質などを全て満たすメリットがある一方、固定された開発プロセスによって、クライアントの声に柔軟に対応できないというデメリットがあります。

アジャイルの特徴

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アジャイルは、事前の計画通りに開発を進めるウォーターフォールモデルとは異なり、要件に変更があることを想定し、実行結果に基づいて計画を柔軟に変更しながら進行させる開発モデルです。

要件や仕様の優先度が高い順に開発プロジェクトを複数立ち上げ、各機能ごとに設計・開発・テスト・リリースを繰り返す短いサイクル(イテレーション)を設けます。

イテレーションにより、要件や仕様の変更にも柔軟に対応でき、クライアントにとってビジネス的価値の高いソフトウェア開発につながります。

ソフトウェアの機能ごとに短期間で効率的な開発が行われるため、従来の開発モデルよりもリリースまでの期間を短縮できるのが、アジャイルの特徴です。

アジャイル開発で代表的な3つの手法

アジャイル開発には、スクラム、ユーザー機能駆動開発(FDD)、エクストリーム・プログラミング(XP)という代表的な3つの手法があります。

3つの手法の特徴をわかりやすく解説します。

スクラム
ラグビーのスクラム(Scrum)が語源とされる「スクラム」は、チーム一丸となってソフトウェア開発を行うフレームワークです。

開発とプロダクトに携わるプロダクトオーナーと、プロジェクトの推進に携わるスクラムマスターが、チーム全体をサポートしながら開発を進めます。

具体的には、以下のようなフローで開発を行います。

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フロー
概要
① デイリースクラム
毎朝ミーティングを行い、チーム全体の進捗や課題を共有し、その日に行う作業を確認する。
② プロダクトバックログ
開発するプロダクトの機能の優先順位を付けたToDoリストをプロダクトオーナーが作成し、開発期間をチーム全体で計画する工程。
③ スプリント計画
一つのイテレーション期間で、プロダクト全体で実現させるべき機能をチーム全体で計画する工程。
④ スプリントレビュー
一つのイテレーション期間で完成したプロダクトのレビューを、開発メンバー全員とクライアントで行う工程。
⑤ 振り返り
各スプリントの良かった点、悪かった点、今後解決すべき課題などをチームメンバー全員で振り返る工程。

このように、チーム全体で円滑なコミュニケーションと意思疎通を通じて、プロジェクトを成功に導く開発手法です。

ユーザー機能駆動開発(FDD)
ユーザー機能駆動開発(Feature Driven Development)とは、ユーザーの「機能価値(feature)」を満たすことに寄与した開発手法です。

クライアントとのヒアリングを通じて、まずはビジネスモデルを深く理解することから始まり、ユーザーにとって必要な機能を中心とした設計・開発を行います。

ユーザー機能駆動開発は、プロジェクト管理やマネジメントの面も持ち合わせており、スクラムと同様にクライアントとの綿密なコミュニケーションが重要とされます。


エクストリーム・プログラミング(XP)
エクストリーム・プログラミング(Extreme Programming)とは、プログラマーを中心として開発を進める手法のことです。

あらかじめ仕様や要望、必要な機能などが途中で変更されることを想定し、柔軟に対応できる体制で開発に取り組みます。

常時2人1組でプログラミングを行う「ペアプログラミング」や、チーム全体で使用するコード記法のルール決めを行う「コーディング規約」などが、エクストリーム・プログラミングで採用されます。

DevOpsとは

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アジャイルを語る上で理解しておきたいのが、DevOps(デブオプス)です。

DevOpsとは、Development(開発担当者)とOperations(運用担当者)という2つの言葉を組み合わせた造語です。

開発チームと運用チームが連携を取り合い、協力しながらソフトウェア開発・運用を進め、ビジネス価値を継続的に向上させる協力体制や概念のことをDevOpsと呼びます。

DevOpsのテーマは、人と手法、そしてツールをフレキシブルに連携させることです。簡単に説明すると、開発部門と運用部門におけるサイロ化の解消に注力し、アプリケーションやサービスの開発スピードの向上につなげます。

併せてITインフラ管理を効率化することで、ビジネス環境の変化が激しい市場においても、IT製品の導入・更新を持続できます。

アジャイルとDevOpsの違い

アジャイルは開発手法であり、DevOpsは開発チームと運用チームの協力による協力体制を指します。

どちらも迅速な開発を持続させる意味で使われる言葉で、コンセプトは異なるものの親和性は高く、DevOpsで開発を進める際にアジャイルを採用する企業も少なくありません。

開発チームと運用チームで協力し合い、アジャイルで開発プロセスを高速化することでビジネス価値を高めていけます。

開発チーム・運用チームが協調する重要性

本来、開発チームと運用チームはプロジェクトにおけるゴール地点が異なり、それぞれが独立した組織とみられています。

DevOpsでは、クライアントニーズを満たすサービスの開発に取り組む開発チームと、安定した稼働でクライアントの利便性を維持する運用チームの協力こそ、ビジネス価値を高めると考えられています。

ただクライアントのニーズを満たすだけではなく、開発担当者と運用担当者、さらには品質管理担当者が情報共有をスムーズに行うことで、開発スピードの向上につながるのもDevOpsの大きなメリットです。

ビジネス環境の変化に伴い、クライアントのニーズは多様化しています。だからこそ、クライアントのニーズに応えながら、スピーディーに開発できるDevOpsが、多くの企業に求められているのです。

DevOpsの実現でビジネスを成功させるポイント

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自社にDevOpsを導入する際、チーム間でのコミュニケーションの円滑化や、信頼関係の構築が成功の鍵を握っています。

これまで開発チームと運用チームが交わる機会が少なかった組織体系では、DevOpsの実現に組織文化の見直しや意識改革が必要になるでしょう。

チーム間での信頼関係の構築
DevOpsで欠かせないものは、開発チームと運用チーム間での信頼関係の構築です。

一つのプロジェクトに対し、開発と運用に携わる全ての人間が相互に尊重・信頼し合うことで、DevOpsの実現に大きく前進できます。

一緒に働くメンバーを思いやった行動や失敗に対して健全な態度をとることは、より良い組織文化をつくるために大事なことです。

一人ひとりがお互いを優秀な人間であると認め、切磋琢磨して開発に臨むことで活気に溢れたチームへと成長できます。


チームの枠を越えた課題の共有と解決
ソフトウェア開発では、トラブルを乗り越える課題解決力も重要とされます。

DevOpsでは、トラブルが起こった際に開発チームと運用チームがそれぞれ持つナレッジやノウハウを共有しながら、建設的に課題の解決に取り組みます。

チームの枠を越えて「どのように課題を解決すべきか?」を一緒に考え、同じトラブルを繰り返さないように業務プロセスや連携の取り方を見直すことが大事です。


DevOpsの環境に必要なツールの導入
開発環境と運用環境を相互に連携するツールも、DevOpsの実現に必要不可欠です。

一般的には、以下のようなツールの導入を検討します。

  • コミュニケーションツール
  • 仮想化ツール
  • 構成管理ツール
  • 監視ツール
  • CI/CD ツール
  • テスト自動化ツール
  • バージョン管理ツールなど

たとえば、開発を進める上で必要な情報共有や連絡は、ChatWorkやTeamsなどのコミュニケーションツールで円滑化を図ります。

開発スピードを向上させるために、各プロジェクトにおける業務を効率化し、安定的に作業を自動化するツールもDevOpsの実現に必要とされます。


DevOpsに精通したリソースの確保
DevOpsによる開発を成功させるには、最新テクノロジーやITツールに関する豊富な知識を持つプログラマーやエンジニアなどの優れた人材も必要です。

具体的には、以下のような知識や経験を持った人材がDevOpsの実現に重宝されています。

  • サーバー負荷に対するスケーラビリティ確保に慣れている
  • ネットワーク設計やITインフラ管理を理解している
  • スクリプト言語のプログラミングに対応できる
  • テストスキルやセキュリティ対策に長けている
  • クラウドサービスの運用、保守、管理ができる
  • コミュニケーション能力が高い

DevOpsの導入で業務生産性向上や迅速な開発を実現するために、リソースの見直しと最適化も図りましょう。

まとめ

「アジャイル」とは、かつての開発手法よりも柔軟性とスピードに優れたソフトウェア開発を行う手法のことで、IT業界の注目トレンドのひとつとされています。

アジャイルと親和性の高い「DevOps」は、開発チームと運用チームが連携・協力し合い、開発の効率化やクライアントの満足度向上につなげる協力体制のことです。

DevOpsの実現に向けて、より良い組織文化を築くことが大事になりますが、DevOpsに精通したリソースの確保もビジネスの成功を左右する重要な要素です。

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