アプリケーションの開発をローコード開発で効率化したい場合、自社ビジネスに即した開発プラットフォームの選定が非常に重要です。
近年、トヨタ自動車株式会社をはじめとする大企業から注目されているのが、超高速開発プラットフォームの「OutSystems(アウトシステムズ)」です。
OutSystemsは、多様なアプリケーションをローコードで素早く開発できるサービスであり、プログラミング初心者の方でも手軽に扱うことが可能です。
この記事では、OutSystemsの特徴やアプリ開発に活用するメリット、注目される背景などをご紹介します。
OutSystemsとは、ビジネス用アプリケーションを最小限のコーディング(ローコード)で超高速開発できるプラットフォームサービスです。
システム設計情報やソースコードを自動生成し、高度なプログラミング言語を使用せずとも、Webアプリ・チャットボット・リアクティブWebアプリなどを開発できます。
ローコード開発は、ITを活用して生産性向上を目指す企業や、エンジニアのリソース不足に悩まされている企業などに重宝されている開発手法です。
その中でもOutSystemsは、ローコード開発市場のリーディングカンパニーである「OutSystems社」が提供するサービスであり、伊藤忠テクノソリューションズやトヨタ自動車株式会社などの大企業に採用されています。
OutSystems社について
OutSystems社は、Paulo Rosado氏によって「エンタープライズソフトウェアを変革する」というビジョンのもと、2001年にポルトガルのリスボンで設立された企業です。
現在は、米国のマサチューセッツ州に本社を置き、11カ国にオフィスを構える世界的な企業に成長しています。
OutSystems社がリリースしたOutSystemsは、2019年にForrester Wave:AD&D Professionalsのローコード開発プラットフォームのリーダーに選出されました。
創業者兼CEOのPaulo Rosado氏は、「OutSystemsが企業のDX化を加速させており、世界中の主要な市場における需要に拍車をかけている」と述べ、日本でも近年需要が急速に高まっています。
OutSystemsは、高度なプログラミング言語のコーディングが必要となる開発とは異なり、ビジュアル言語を使用した開発を実現するローコード開発プラットフォームです。
OutSystemsの主な特徴ついて、詳しく解説します。
ビジュアルモデリングによる開発
OutSystemsの最大の特徴は、ビジュアルベースの言語を用いた開発手法です。
複雑なロジックをアイコンで可視化されたビジュアル言語を、ドラッグ&ドロップで操作する簡単な仕様となっています。
専用のIDEを使用することで、アプリケーションUI・ビジネスプロセス・ビジネスロジック・データモデルなどを手軽に設計できます。
ビジュアル言語は、ISO19510に定義されたBPMNと類似するモデリング表記になっており、プログラミング言語の「C#」のソースコードを自動生成することも可能です。
また、生成されるソースコードはセキュリティ性にも優れており、SQLインジェクションによる攻撃などからも安全に守ってくれます。
専門家以外でも扱いやすいワークフロービルダー
OutSystemsには、IT技術者ではない開発者でも使いやすいワークフロービルダーが搭載されています。
Webブラウザ上でフローを構築することで、必要な各種機能や画面が備わったアプリケーションが自動生成されます。
複雑な操作を必要とせず、OutSystemsに初めて触れる開発者の方でもワークフローを生成可能であり、従来の開発手法よりも作業工数を大幅に削減できます。
表現力・拡張性に優れたUI
OutSystemsに標準装備されているテンプレートを利用し、自由にカスタマイズできます。
さらに、既存のレイアウトをインポートして編集もできるため、製品のイメージに沿った画面を構築することが可能です。
シームレスなUI設計になっているため、UIの構築に関するスキルがない方でも安心です。
レスポンシブなアプリケーション開発
近年におけるアプリケーション開発は、レスポンシブウェブに対応したモバイルフレンドリーな設計が求められます。
OutSystemsなら、多種多様な端末の画面サイズに対応したアプリケーションを開発できます。
例えば、高精細で大画面なPC、小さい画面のスマートフォン、中間のサイズのタブレットなど、それぞれに最適な画面サイズに対応可能です。
既存システムとの柔軟な連携
総合環境で作成したコンポーネントは、ローカルや外部のデータベースシステム、マイクロサービス、既存のサードパーティシステムと連携させることができます。
また、独自のコードを用いてOutSystemsを拡張できるため、他システムとの複雑な連携が必要となるプロジェクトにも対応可能です。
OutSystemsは、ITを活用した業務効率化・生産性向上を目的とした企業を中心に導入されています。
DX推進におけるソリューションとしても注目されているOutSystemsを、アプリケーションの開発に活用するメリットをご紹介します。
自社のエンジニアの作業効率が上がることで、コア業務に集中できる時間を確保することができ、組織の生産性が高まります。
また、外部のエンジニアを採用する人件費の削減にも繋がり、開発コストを大幅に削減することが可能です。
開発期間の大幅な短縮とコストダウンが実現する
コーディングの簡略化によって、アプリケーションの開発期間が大幅に短縮され、人件費を始めとするさまざまなコストの削減にも繋がります。
また、予め用意された機能を組み合わせて開発を進められるため、人の手によって起こる開発の不整合を予防することも可能です。
単に開発期間が短くなるだけではなく、バグが少ないことからアプリケーションの品質を保ちやすい側面もあります。
エンジニア不足の解消に繋がる
プログラミング初心者でもアプリケーションを開発できるOutSystemsは、エンジニア不足の解消に繋がります。
スキルレベルが低い人材を開発に割り当てることができるため、より現場のニーズに即した機能を開発することも可能です。
各部署において、OutSystemsを活用した業務フローの改善や、開発の内製化を図ることができます。
トヨタ自動車株式会社(以下トヨタ)は、2016年頃から伊藤忠テクノソリューションズ(以下CTC)のサポートを受けながら、OutSystemsを活用した生産性向上に取り組んでいます。
CTCは、比較的早くからOutSystemsを採用しており、OutSystems社の代理店として導入サポートを行っている大手IT企業です。
東京・豊田・名古屋にあるCTCのアジャイルオフィスでは、「OutSystems道場」というお客様向けセミナーや教養トレーニングが実施されています。また、CTCはベトナム発祥のFPTジャパンホールディングスと業務提携し、名古屋・豊田を拠点としてアジャイル開発の体制を整えています。
トヨタは、システム・ソフトウェアの大規模開発や多様化するビジネスニーズに対応するため、「トヨタ生産方式」を基にしたアジャイル開発を導入している企業です。
CTCのサポートのもと、トヨタはアジャイル開発とOutSystemsを融合させた開発手法で、生産性向上への取り組みに注力しています。
「アジャイル開発」と「OutSystems」を掛け合わせることで、必要最低限の機能に限定した無駄のない開発を進めることができ、大幅な生産性向上に繋がると期待されています。
国内の大手企業が積極的にOutSystemsを採用していることで、今後ローコード開発プラットフォームの需要はさらに高まるでしょう。
【関連記事】OutSystemsは、DX推進におけるテーマである、ITを活用した業務効率化・生産性向上を実現させるローコード開発プラットフォームです。
日本国内では、トヨタ自動車株式会社などが積極的に導入しているサービスであり、アジャイル開発と掛け合わせることで、アプリケーション・システムの超高速開発が実現します。
ただし、OutSystemsをはじめとするローコード開発プラットフォームは、デザイン・機能などに制限があるため、自社で理想とする高度なアプリケーション開発に適さない場合もあります。
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